「入院の定義」規定の機能と限界について

慶応義塾保険学会は、2017年9月28日、東京都港区の慶応義塾大学三田キャンパスで2017年第1回研究会を開催した。
第2部で当社代表の長谷川仁彦と武蔵野大学法学部専任講師の金尾悠香氏が、入院保障保険契約においてモラルリスク対応のために約款に導入されている「入院の定義」規定の機能と限界について、訴訟事案を中心に検証し、課題を考察した。

長谷川と金尾氏は、入院保障保険における「入院の定義」について解説した。
まず長谷川が各社の保険約款に「入院の定義」が導入された要因として、モラルリスクの増加とアブセンティズムのまん延を指摘。
また、「入院の定義」の要件には、
①医師による治療。
②自宅等での治療または通院によって治療の目的を達することができない。
③病院または診療所に入る。
④常に医師の管理下において治療に専念する。
の4点を挙げ、「入院の定義」規定に該当するかをめぐって争われた訴訟例を詳細した。

続いて金尾氏が「入院の定義」に対する判断基準について説明。
従来は被保険者の主治医の見解とするべきか、あるいは入院当時の一般医学上の水準により判断するべきかという視点の重要性が指摘されてきたと述べた。
また、患者の治療については、主治医以上によく知る者はいないことが一般的であることから、医師の裁量権の範囲と合わせて「入院の定義」規定の該当性の判断基準が問題となるとした。

(上記記事は、2017年10月25日の保険毎日新聞に掲載された内容からの一部抜粋です。)